社長の独り言
〔連続培養から見えて来る新たな可能性〕
(やっと得られた藻類培養の夜明け)
私自身、静岡県とハワイでバイオドームシステムによる屋外培養に携わっていた時は、連続培養などと言う夢物語には縁がなく、日々コンタミ(培養にとって致命傷となり、培養中断を余儀なくされる異物混入。致命傷となるタイプには二つあり、一つは育てたい藻類よりも生育が早く、あっと言う間にコンタミした藻類だらけになってしまうケース。もう一つは更に悲惨で、育てたい藻類を一晩で食べ尽くしてしまうような、所謂動物プランクトン。)との戦いに明け暮れ、実際にはそれほどでもなかったとしても、現場の感覚としては頻繁にコンタミし、その度に洗浄作業に明け暮れている感覚でした。
藻類培養において生産性が安定していないと言う事は、製品を生産するメーカーサイドからすると致命的です。
一旦商品化したら、その製品素材が入ってこないでは済まされません。
連続培養が実施出来ていると言う事は、その間は同じ収穫量が安定して出ていると言う事です。
そして連続培養のもう一つの大きな利点は、連続培養中に種菌が一切必要ないと言う事と共に、植付け時の種菌の植付け量自体も極端に少なく済む事です。
通常は長期間の培養が出来ないために、意図的に培養量全体の10%~20%と言う大量の種菌を用意し、コンタミ等の問題が出ない短期間で全収穫しますが、長期間培養が可能な弊社培養装置では2ton装置一台当たりの液量に対し種菌が1Lと、全体量の0.05%で済みます。
しかも培養が始まれば半量等の部分収穫を繰り返せるため、その間の種菌は一切必要なく、したがって通常は膨大な量の種菌を用意する為の設備もコストも人手もが弊社の場合は必要ありません。
2ton 装置が100台ある施設の場合は、通常の10%植菌でも一回の植え付けにトータル20tonの種菌が必要となります。
一般的に培養のスケールアップは10倍10倍で増やして行くので、20ton用意しようとすれば研究室のフラスコレベルから三回四回のスケールアップをしながら用意します。
そしてバッチ式の培養の場合は、この種菌を毎収穫の度に用意しなければならず、コンタミで全滅でもすれば全て無駄となります。
こうして見て行くと、バッチ式の培養と連続培養での生産性・マンパワー・生産コスト等の面でどれだけの違いが出るかがお分かり頂けるものと思います。