社長の独り言
〔屋外培養と屋内培養〕
(誰しもが憧れる太陽光による培養、しかし・・・)
基本的に藻類培養を始められる事業者さんは、まず屋外培養から入られるケースが殆どです。
やはりコストフリーの太陽光利用に最初はみな憧れます。
私自身も、バイオドームと言うオリジナルな培養装置で静岡とハワイで屋外培養に挑戦したのもそうした動機からです。
前述のように、藻類培養の三大要素の一つである付着沈殿は完璧に抑え込んでいましたし、コンタミ防止・冷却機能も共にまあまあの性能を有していました。
ですので、今となっては屋外で藻類培養を行うと言う選択肢は持ってはいませんが、もしどうしても屋外でやらなければならないと言う事であれば、私は迷わずバイオドームシステムを採用します。
しかし、今後私が屋外培養に手を付ける事はまずありません。
それは何故かと言うと、大きな理由は二つ、いや三つあります。
一つは、屋外培養は天候依存であり、ハワイのように年中温暖と言われる地域でも、温度の問題・曇りや雨の問題等天候が大きく作用します。
ハワイでも苦労すると言う事は、地球上に適地と言える場所はほぼ存在しないと言う事でもあります。
日本では屋外で培養出来る場所はほぼ沖縄一択ですが、その沖縄も台風の通り道であるが故に、ある一定の時期は培養自体が困難になります。
そして二つ目の理由は、やはりコンタミをなくす事の困難さです。
これはまずもって不可能と言って過言ではなく、どのようなシステムを採用しても、屋外で雨も降り風も吹く中で、育てるものも目には見えない大きさの植物、混入して来るコンタミもミクロの世界の生き物です。
コンタミの現状は決して社外には知らされないので、はた目には問題なく行われているようでも、現実には致命的に悲惨な状況か、まあまあ抑え込んでいるかの二択です。
設備設置の初期段階では問題なく進んでいた培養も、ある時を境にコンタミが発生し、一旦発生すると根絶はほぼ不可能で、通常は日に日に悪化します。
特にオープンポンド(池培養)方式は、微生物だけではなくあらゆるものが混入し放題ですし、雨が降れば培養液が薄まり、大雨で全滅です。
三つめは、如何にも今風ですが、屋外培養では今後藻類培養が解決しなければならないと思われるCO2削減に役立てる事が出来ない事です。
CO2削減に屋外培養が不適である理由の最大の理由は、屋外培養が極端に実施ロケーションを選ぶと言う現実です。
CO2は世界中のあらゆる地域から排出されています。
そしてその排出CO2を藻類に吸収させ酸素に換えるためには、排出場所の隣接地に藻類培養工場がなければなりません。
排出CO2をわざわざ手間とエネルギーを使って液化し、CO2を出しながら他の地域に輸送していたのでは意味がありません。
また屋外培養は光源が太陽光一点のみであるがため、必然的に敷地面積が広大になります。
それだけの場所が排出場所の周りにあるとは限りません。
従って、CO2削減に藻類培養を活用する際には、クリーンエネルギーによる室内のLED培養である事が必須です。
加えて、屋外培養は前述の通り培養自体が安定せず、CO2を効率的に吸収させる機能を有しておらず、注入CO2の90%以上が大気にそのまま捨てられています。
私自身、ハワイで培養していた際にはCO2削減など全く考える余裕もなく、何とかコンタミによる全滅を防いでバイオマスを得る事に必死で、CO2の無駄遣いなどは二の次でした。